title-left こんな疾患・症状に効果があります

■鍼灸はいろいろな病気に効果があります。

 鍼灸は、肩こり、五十肩、腰痛、神経痛などの主に運動器系の症状にしか効果が無いように思われがちですが、実は下記に紹介する鍼灸療法の特徴が、内科系の疾患やその他のさまざまな疾患の治療に効果があることが最近の研究から明らかとなって来ています。

■鍼灸は「予防療法・健康維持の療法」です。

 また、鍼灸は「未病を治す」を第一義の目的としている療法であり、本来、予防療法・健康維持の療法として昔から用いられてきました。
 「未病を治す」とは「未(いまだ)病成らざるを治す」の意味で、すこやかに天寿を全うするために病気を予防することや、二次障害の予防、痴呆の予防、寝たきりの予防なども含まれます。

■鍼灸は「オーダーメイド療法」です。

 鍼灸療法の特徴 を、「同病異治」(同じ病気でも治療法は異なる)・「異病同治」(異なる病気でも治療法は同じである)という言葉でよく説明されます。同じ頭痛であって も、風邪による頭痛・肩こりによる頭痛・生理不順による頭痛なのかなど、頭痛であっても原因が同じとは限りません。
 また、耳鳴り・ 肩こり・頭痛などの異なる症状であっても原因が同じであれば同じ治療法となることもあります。従って頭痛でも頭痛の種類により、用いるツボや方法は異なることもあり、異なる症状であっても用いるツボや方法が同じ場合もあります。これは西洋医学で一般的に行われている痛みには鎮痛剤という対象療法とは異なり ます。
 この考え方が、体質やその他の状況をも含めて総合的に診断治療しようとする鍼灸の特徴であり、個々人に応じた治療、すなわち「オーダーメイド療法」なのです。

■鍼灸は「古くて新しい医学」です。

 鍼灸は、中国では約3000年前から体系的に行われ、韓国でも長い歴史を持ち、日本でも約1500年前から行われてきました。しかし最近、欧米での関心と期待が高まり、WHO(世界保健機関)も、鍼灸をはじめとする伝統医学の発揚を重要項目として力を注いでいます。1997年11月には、アメリカの国立衛生研究所(NIH=National Institute of Health)の会議で、一定の範囲の疾患に対して鍼治療が有効であることが発表されました。
 それ以降、アメリカは勿論、英国・ドイツ・スウェーデンなど欧州各国でも、国や財団等から多額の研究費が投入され、新しい医療のあり方を探る医療改革の中で、重視されて来ています。
 また、スポーツ界でも鍼灸療法は大きな貢献をしており、今や世界に羽ばたく、21世紀に期待される、「古くて新しい医学」なのです。

■鍼灸の治効原理は解明されつつあります。

 鍼灸の効果の研 究は、世界的に行われており、日本でも様々な研究所、医療機関、鍼灸大学などで行われています。鍼灸の効果については、総合的には、鍼灸刺激が自律神経 系、内分泌系、免疫系等に作用して、その結果として、中枢性及び反射性の筋緊張の緩和、血液及びリンパ液循環の改善等の作用を発揮させ、それらの相乗作用 が、生体の恒常性の維持(病気を自然に回復させる作用)につながるのではないかと考えられます。
  1. 鍼灸は痛みを緩和させます。
     頭痛や神経痛などの痛みを伴う症状に効果があります。中国の文化大革命時代に麻酔薬を使わない鍼麻酔が注目されましたが、現在では、鍼の刺激で内在性オピオイド(エンドルフィン・エンケファリン)が分泌され痛みを緩和させることが科学的に解明されています。
  2. 自律神経に効果的に作用します。
     自律神経の失調から起こる胃腸病、高血圧、冷え症、更年期障害などの疾患、またストレスが原因となる不眠・うつ病などにも自律神経の調節作用により高い効果が得られています。
  3. 免疫力を高めます。
     昔から、風邪の予防やアトピー性皮膚炎・リウマチなどの免疫作用に関連する疾患にはよい効果が得られていました。最近では、ヒトの持つ免疫力を賦活させる働きについての様々な研究がなされ効果が解明されつつあります。
  4. がんの治療にも大変よい効果を発揮しています。
     現在国立がんセンター緩和ケア科では鍼灸が利用され、西洋医学の限界をカバーし、症状を緩和する代替医療として、がん治療の疼痛コントロールに大変よい効果を発揮しています。
    詳しくは、下記ページを参照してください。
    http://www.gsic.jp/palliative/pc_04/